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真昼時、その部屋に在った大きなソファーに、しかし座っているのは寄り添う少年二人のみ。片方の少年は穏やかなあどけない寝顔を浮かべもう一人の少年の肩に頭を預けてすやすやと眠っている。

たいした苦でもないから(いやむしろ役得)雲雀はそのままにして書類に目を通していた。が。もうすぐチャイムが鳴る。別に彼がどうなろうと関係ないしむしろ寝顔がかわいくて手放したくないのだが、授業に出なくて補習、放課後会えないというのは癪だ。というか他の奴らも黙ってないだろうし。
「ねえ、起きなよ」
軽く揺すったが目を覚ます気配はない。
「起きないと、咬み殺すよ」
やはり目を覚まさない。
「君、随分いい度胸じゃない」
雲雀の整った顔が軽くひきつる。が、ふとツナを見下ろしていたずらっ子のような笑みを浮かべた。そっと、肩に寄りかかるツナの耳元に口を寄せる。

「起きないと、食べちゃうからね」

ついでに耳を甘噛みする。
……と、こてんとバランスを崩したツナの頭が雲雀の膝に乗っかった。
「……誘ってるのかい?」
半ばあっけにとられていたが、全く起きそうにはない。雲雀は口端をつり上げ、ゆっくりと体をかがめてツナに口づけようとした……が。

「ん、ぅん~」
薄く目を開いたツナは次の瞬間目を見開いた。
「わっ」
突然目の前に現れた顔に驚くあまり勢いよくソファーの端まで跳び退る。
「……そんなに驚かれるとさすがに傷つくよ?誘ってきたの君だし」
「そ、そんなっ!誰だって起きたら目の前に顔がありましたって驚きますよ!?」
「僕でもかい?ひどいよ。おしおきだね」
ツナの顔に怯えが見えた。が、雲雀は構わずソファーの端に追い詰める。

ちゅっ。

ツナの見開かれた目と紅く染まった頬を見つめて雲雀は満足そうに笑った。
さっきし損なって、随分気を損ねていたらしい。
何をされるかと不安に駆られていたツナは驚きの表情のまま呆けている。それがあまりにかわいくて雲雀はいっそそのまま食べちゃおうかと手を伸ばしたが、はっとしたツナに何するんですかっ、と肩をつかまれ怒られる。
……さらにかわいいだけなのに。
細い腰に手を回して、抱き上げようとした。

その時。

唐突に気まずい沈黙が下りた。響いてくるのは……昼休みの終わりを告げるチャイムの音。
「あ、あのすみません遅れるので教室行きますっ」
「ちょっ……」
引き止める間もなく駆け出すツナの背中を見つめて。
「チャイム……放送委員、咬み殺す……!」
雲雀は物騒な独り言をもらし、トンファーを握り締めたとか。

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